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GMV(流通取引総額)とは?計算式や用途を紹介

EC関連の報道などで「GMV」という言葉を目にすることがあります。何となく意味を知っているようで、具体的な意味や売上との違いなど曖昧な点が残っている方も多いのではないでしょうか。

GMVとは?

はじめにGMVとは何を表しているのか、基本的な概念を整理しておきます。正確な意味を知ることで、GMVの意味がより理解しやすくなるはずです。

GMV=流通取引総額

GMVとはGross Merchandise Valueの頭文字を取った略語で、「流通取引総額」と訳されます。マーケットプレイス型ビジネスの企業会計において、販売実績や市場規模を表す際に用いられる数値です。

シンプルに表現するなら、GMVが大きいマーケットプレイスは業績が好調と考えて差し支えありません。後述するように、一般的によく使われる「売上」とは意味が異なるものの、業績を表す数値である点は共通しています。

主要EC事業者のGMV

2021年、大手EC業者の世界商品取扱高が6,100億ドルに達し、アメリカ最大手の小売業者の売上を上回ったことが大きな話題となりました。EC業界のみならず、小売業界全体において主要マーケットプレイスのGMVは注視すべき指標の1つとなりつつあります。

国内の主要EC事業者のGMVは下表の通りです。

事業者例GMV
A社5兆118億円
B社3兆2,265億円
C社7,845億円
D社4,077億円

GMVと売上の違い

GMVが業績や市場規模の指標となるのであれば、一般的な「売上」とどう違うのか疑問に感じる人もいるでしょう。GMVと売上の違いについて確認しておきましょう。

GMVには他社商品の取引額も含まれる

GMVは、マーケットプレイスで取引された販売総額を表しています。フリマサービスをイメージすると分かる通り、サービス内で購入できる商品はフリマサービス事業者が自社で仕入れた商品ではありません。個人や法人の出品者がフリマサービスに出品して販売しています。

GMVは販売総額を表すわけですから、売れた商品がEC事業者の仕入れた商品かどうかは考慮していません。ECサービス経由でどれだけの取引が行われたのか、全体の総取引額を表しているのがGMVなのです。

GMV=売上ではない点に注意

では、EC事業者の売上はどこで確保されているのでしょうか。ECサイトに出品した商品が売れた場合、出品者は取引手数料を支払います。取引手数料の割合はテイクレートと呼ばれ、EC事業者ごとに異なります。EC事業者にとっての売上とは、この取引手数料の総額を指しているのです。

EC事業者の売上は、次の計算式で算出されます。

売上=GMV×テイクレート(手数料)

GMVと売上の混同を避けるため、GMVを「グロス売上」、取引手数料を「ネット売上」と慣用的に呼び分けていることもあります。いずれにしても、EC事業者にとってGMV=売上とはならない点に注意しておくことが重要です。

マーケットプレイスとは?

ここで、マーケットプレイスについてもう少し詳しく解説しておきます。ECサイトと呼ばれるもののうち、マーケットプレイスとはどのようなサービスなのでしょうか。

マーケットプレイスは「場所の提供」

マーケットプレイスとは、商品を売買するための「場所」を提供するサービスを指します。マーケットプレイス型ECモールでは、出品者がECモール内で出品者専用ページを開設して商品を販売します。消費者は出品者から商品を購入するので、ECモールが提供しているのは売買するための「場所」のみというわけです。

マーケットプレイスを運営する企業は、主に次の3つが収入源となります。

▼マーケットプレイス型ECモール運営企業の収入源

  • 出品者が支払う出店料
  • 商品が売れた際の取引手数料
  • 商品をアピールするための広告料

このように、マーケットプレイス型ビジネスでは商品を販売するための「場所の提供」をしており、出品者が支払う手数料などが収入源となっているのです。

テナント型サービスとの違い

ECサイトには、マーケットプレイス型サービスのほかに「テナント型サービス」があります。テナント型サービスとは、運営企業が扱う商品を販売するタイプのECサイトです。

EC事業者が自社で仕入れた商品を販売している場合、販売額から仕入費用を差し引いたものが売上です。マーケットプレイス型とテナント型の違いは、下表のようにまとめることができます。

▼マーケットプレイス型とテナント型の違い

ECサイトの種別商品の仕入れ業績の指標売上の計算方法
マーケットプレイス型出品者が仕入れるGMVGMV×手数料(%)
テナント型自社で仕入れる販売額販売額−仕入費用

GMVの計算式や使用される場面は?

GMVはどのように計算すればよいのでしょうか。GMVが使用されることの多い場面と合わせて確認しておきましょう。

GMVを計算する方法

GMVは総流通取引額ですので、全ての商品の販売額を合計すれば算出することができます。一方、KPIの予測値を把握しておきたいなど、GMVを概算したい場合もあるはずです。GMVを計算するには、次の計算式を用います。

▼GMVの計算式

GMV=平均注文単価×取引商品点数

上記の計算式に当てはめることで、一定期間内の取引実績から年間のGMVを算出することも可能です。一例として、平均注文単価が1,000円で1ヶ月間の商品取引点数が6,000点の場合、年間のGMVは下記のように算出できます。

1,000円×6,000点×12ヶ月=7,200万円

よって、上の例ではECサイトのGMVは年間7,200万円と概算できるのです。

GMVが使用される場面

GMVが使用されるのは、マーケットプレイス型ビジネスのKPIを知りたい場合です。マーケットプレイスの売上はGMVに手数料を乗じたものですので、GMVが伸びれば業績も伸びることになります。GMVを伸ばすための主な方策は次の2つです。

平均注文単価を上げる

平均注文単価を上げることでGMVの伸長に繋がります。つまり、客単価を上げることでGMVを改善できるのです。ECサイトを利用する一人一人の顧客により高額な商品を購入してもらうための施策を講じましょう。

ECサイトの利用者の多くは、初回の利用から高額商品を購入しようとしません。ECサイトの利用経験を重ねる中でサービスに対する信頼が醸成され、より高額の商品も安心して購入してもらえるようになるのです。

つまり、平均注文単価を上げるにはリピーターの獲得が重要なカギを握っています。顧客エンゲージメントを高めるためのサービス品質向上に努めるとともに、商品レコメンドなど顧客が求める情報を継続的に提供する必要があるでしょう。

そのほか、決済手法を工夫することでもリピーターの獲得につながります。例えば、atone(アトネ)は業界唯一のポイントシステムにより顧客エンゲージメントを高め、リピート率向上に貢献します。

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取引商品点数を増やす

GMVを向上させるには、取引商品点数を増やすことも重要です。ただし、ECサイトで扱う商品を充実させるだけでは取引商品点数は増加しません。取引商品点数は新規顧客の獲得状況を反映していると考えてください。

より多くの消費者にECサイトを利用してもらうには、サービスを広く認知させるための施策が欠かせません。利用開始後の一定期間は発送料をサービスしたり、会員料金を無料にしたりといった企画を打ち出すことでより多くの利用者を獲得しましょう。

GMVまとめ

GMVとは流通取引総額のことであり、マーケットプレイスの販売実績や市場規模を表す重要な指標です。一般的に用いられている「売上」とは意味が異なる点に注意しましょう。

また、GMVはマーケットプレイスのKPIを把握する際に使われるのが一般的です。平均注文単価を上げ、取引商品点数を増やすことがGMVの向上に繋がります。GMVの概念と活用方法を正しく理解して、マーケットプレイスの運営に役立ててください。

EC・デジコン事業者様におすすめの決済サービスのご紹介

ECサイトでの売上を高める有効な取り組みの1つに、決済方法を充実させることが挙げられます。ユーザーのニーズに応じて多様な決済手段を用意しておくことは、LTVの向上やカゴ落ち防止、新規顧客獲得につながるでしょう。

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