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内税と外税の違いとは?計算方法やインボイス対応を含めて解説

消費税の記載方法には「内税」と「外税」があります。従来はどちらの表記でも問題ありませんでしたが、総額表示義務が課されたいま、事業者はルールに則って適切に対応しなくてはなりません。

本記事では、消費税における内税・外税についてわかりやすく解説します。それぞれの計算方法や経理方式ごとのメリット・デメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

「内税」と「外税」とは?

そもそも「内税」「外税」とは何を表しているのでしょうか。まずは両者の違いを押さえておきましょう。

  • 内税:消費税を含めた価格
  • 外税:消費税を含めない価格

上記のように2種類の価格表示が混在すると、消費者にとって消費税込みの価格なのか消費税は別なのかが分かりにくくなってしまいます。そこで、2004年4月より「消費者に対し値札・広告で価格を表示する際に内税で表示すること」が義務づけられました。

その後、消費税が8%・10%と引き上げられたことに伴い、2021年3月末までは外税表示も認められていました。この特例措置が終了した2021年4月以降、BtoCの価格表示において、内税による総額表示が義務化されたのです。

内税の計算方法

2023年現在、日本には「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」の2種類の消費税があります。酒類、外食を除く飲食料品や週2回発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)といった品目には軽減税率が適用されるため、まずはどちらの消費税率が適用されるのかを確認しておく必要があります。

適用される消費税率が判明したら、以下の計算式に当てはめて内税を算出しましょう。

  • 税抜価格に課される消費税額=税抜価格×消費税率
  • 税込価格に含まれる消費税額=税込価格÷(1+消費税率)×消費税率

たとえば、税込価格が1,100円で税率が10%であれば、1,100÷(1+0.1)×0.1=100円となることから、この商品に含まれている消費税額は100円と分かります。

なお、消費税の計算で端数が出た場合、端数処理の方法について明確なルールは設けられていません。事業者の判断で切り捨て・切り上げ・四捨五入といった処理を選ぶことができます。

外税の計算方法

では、税込価格から外税として税抜価格を算出したい時はどうすればよいのでしょうか。この場合、次の計算式を用います。

税抜価格=税込価格÷(1+消費税率)

たとえば、税込価格が1,100円・消費税率10%であれば、1,100÷(1+0.1)=1,000円となり、税抜価格は1,000円と分かります。端数が出た場合の処理は、内税と同様に切り捨て・切り上げ・四捨五入を事業者が判断して構いません。

総額表示義務について知っておこう

消費税の表記に関して注意しておくべきこととして「総額表示義務」が挙げられます。総額表示は事業者に課された義務であるため、正確に把握しておく必要があるでしょう。

そもそも総額表示義務とは

総額表示義務とは、消費税額を含めた実際の支払額を明示しなくてはならないというルールのことです。2021年4月より、対象が一般消費者の場合には棚札・値札などに表示する価格は全て総額表示とすることが義務化されました。

ただし、総額表示義務の対象とならないケースも存在します。事業者間での取引で提示される見積書・請求書・契約書などに関しては、本体価格と消費税がそれぞれ記載されていれば、必ずしも総額表示でなくても構いません。総額表示はあくまでもBtoC取引におけるルールと捉えてください。

総額表示義務の必要性

では、なぜ総額表示は義務化されたのでしょうか。理由を端的に表すとすれば、消費者の利便性を高める必要があるからです。税抜と税込の表示が混在していると、実際に支払うべき金額が不明確になる可能性があります。総額表示に統一することにより、こうした混乱を避けることが主な目的です。

実は、総額表示は2004年4月には義務化されていたものの、2014年と2019年に消費税が引き上げられたことに伴い、2013年10月から2021年3月末まで特例措置が設けられていました。値札や商品パッケージに記載された価格を全て税込表示に切り替えるのは、事業者側に少なからず負担がかかることが懸念されたからです。

特例措置が終了した2021年4月以降、BtoC取引における総額表示が義務化されているため、事業者は必ず総額表示となるよう注意する必要があります。

総額表示しなければいけないもの

総額表示が求められる例として、次のものが挙げられます。

  • 値札
  • チラシ
  • カタログ
  • 商品パッケージ
  • ECサイト販売ページ など

消費者に商品やサービスを販売する場合は、価格を提示する際に総額表示義務が発生すると考えてください。

外税表示が認められるもの

一方で、外税表示が認められているケースもあります。基本的なルールとして、限定的な間柄で値段を提示する場合は総額表示義務の対象外となると捉えてください。

たとえば、事業者間で交わされる見積書・請求書・契約書といった文書においては、総額表示は義務づけられていません。ただし、本体価格と消費税額を明示する必要がある点に注意が必要です。当事者間で契約等に必要な料金が明確になっていることが前提となります。

経理方式ごとのメリット・デメリットとは

経理処理においては、税抜・税込はそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。経理方式ごとに見ていきましょう。

税抜経理方式

税抜経理方式は法人税等の計算方法の1つで、支払ったお金を消費税分と本体価格に分けて処理する方式です。仕入れ時に代金に含まれる消費税を「仮払消費税」、販売時に受け取った代金の消費税を「仮受消費税」として区別し、決算時に両者を相殺します。税抜経理方式のメリット・デメリットは次の通りです。

メリット

税抜経理方式では取引のたびに発生する消費税を仮払消費税・仮受消費税として計上することから、期中でも損益を正確に把握できる点がメリットです。また、売上高利益率(当期純利益÷売上高)が税込経理方式と比べて高くなるため、財務指標が良好と判断されやすく、法人税の減価償却に関する特例措置等で有利になりやすいでしょう。

デメリット

取引ごとに消費税額と本体価格を区別して経理処理を進めることになるため、経理処理が煩雑になりやすい点が税抜経理方式のデメリットです。この点は、損益を正確に把握できるというメリットと表裏一体といえるでしょう。

また、取引ごとに端数処理が必要になることから、計算の手間が増す点にも注意が必要です。取引回数が多くなるほど仕入税額控除額も減っていく可能性があるため、取引の頻度によっては不利になる可能性があります。

税込経理方式

税込経理方式とは、仕入の際に支払ったお金と、販売時に受け取ったお金の消費税を本体価格に合算して処理する方式のことです。決算時には未払いの消費税を租税公課として処理します。

なお、消費税の免税事業者に関しては、必ず税込経理方式を採用しなければなりません。免税事業者の場合は税抜・税込経理方式を任意に選択できるわけではない点に注意が必要です。

メリット

税込経理方式では消費税額と本体価格を合算して処理するため、仕訳が簡便であることが大きなメリットです。とくに簡易課税制度の適用を受ける事業者にとっては、消費税の計算をまとめて処理できる税込経理方式のほうが適しているでしょう。

また、機器や設備等を購入した際に適用される特別償却や特別税額控除の額も税抜経理方式と比べて大きくなる可能性があります。結果として節税対策につながる点もメリットといえるでしょう。

デメリット

税込経理方式では期末の消費税総額を元に最終利益を確定させることになるため、期中に損益が判明しない点がデメリットといえます。また、消耗品費や交際費に関しても消費税込みの金額で処理されることから、それぞれ所定の額を超えた場合に経費や損金として処理できないことが難点です。

今後はインボイス制度への対応も必要

2023年10月よりインボイス制度が始まり、課税事業者が発行する適格請求書に記載された税額のみ控除が認められるようになります。適格請求書では、対価の内訳を税率ごとに区別して記載するほか、適用税率を明記しなくてはならないといったルールが設けられているため注意が必要です。

適格請求書の記入漏れやミスが発生すると、取引先に迷惑をかけたり、信用を損なったりする可能性があるため、インボイス制度への対応も併せて検討しておく必要があるでしょう。インボイス制度の詳細と事業者に求められる対応については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。

消費税の内税・外税の違いを理解してしっかり使い分けよう

消費税の内税・外税は税込・税抜表示の違いだけでなく、総額表示義務のルールも踏まえて理解しておくべき概念といえます。それぞれの計算方法や経理方式の特性と併せて、内税・外税の違いをしっかりと理解しておきましょう。

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