本記事では、EDIの基本的な仕組みや特徴について詳しく解説します。この記事を読めば、EDIのメリットや導入時の注意点への理解が深まるでしょう。EDIの種類別の特徴についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
EDI(電子的データ交換)とは?企業間取引をスムーズにする仕組みを解説
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近年、EDIによる企業間取引に注目が集まっています。効率化やコスト削減などのメリットを得られるEDIについて、詳しく知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
EDIとは
EDIとはElectronic Data Interchange略で、日本語では「電子的データ交換」と訳されます。発注書や納品書、請求書といったビジネス文書を電子的にやり取りする仕組みの総称と捉えてください。
EDIの導入によって、従来はFAXや郵送でやり取りしていたビジネス文書をデータで送受信できるようになります。企業間取引の効率化やコスト削減に寄与するなど、多くのメリットを得られる仕組みとして注目されているのです。
経済産業省の調査によれば、国内電子商取引のうちBtoB-ECが占める割合は33.5%に達しており、前年比で1.8%増加しています(※)。BtoB-ECにはEDIも含まれていることから、EDIを導入する企業が増えていることが窺えるのです。
※経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」より
EOSとの違い
EDIと区別しておきたいのがEOSです。EOSはElectronic Ordering Systemの略で、電子受注システムを表します。EDIが企業間取引における文書を幅広く扱うのに対して、EOSは受発注データのみ扱う点が大きな違いです。
EDIにおいても受発注データを扱う場合があるため、EDIにはEOSも含まれています。受発注データに特化してやり取りするための仕組みをEOSと呼んでいるのです。
EDIの特徴を解説
EDIを導入することによって、どのようなことができるのでしょうか。EDIの具体的な特徴について解説します。
取引情報のやり取りを自動化できる
EDIを導入すると、企業間取引でやり取りされる情報を自動化することができます。受発注の流れを例に、EDIの導入がもたらす変化を見ていきましょう。
EDI | 発注側の業務 | 受注側の業務 |
導入前 | 発注書の作成、送付・請求内容をシステムへ入力 | 受注内容をシステムへ入力・請求書を作成、送付 |
導入後 | 発注内容の入力 | 受注内容の確認 |
EDIを導入することで、取引ごとに書類を作成する作業や受注内容を手入力する作業が不要となります。従来は取引先によってまちまちだった書式や送受信方法をデータのやりとりに統一し、標準化することができるのです。
また、受注側での入力作業を省略できるため、取引に要する時間を短縮する効果もあります。たとえば注文から入庫までのリードタイムが短縮されるなど、スピーディな取引が実現できるのです。
データを変換して取り引きできる
EDIでは受信したデータを自社のシステムに適する形式に変換することができます。文字コードやレイアウト、識別コードなどを自社システムに適合する形式に自動で変換し、文字化けやレイアウト崩れを防いでいるのです。
たとえば、自社と取引先で使用している商品コードが異なる場合、自社の商品コードに変換して表示することができます。自社の商品コード表を検索する作業は不要となり、受発注に要していた手間を削減できるのです。
コスト削減につながる
EDIの導入により、帳票類のペーパーレス化が実現できます。帳票類を作成・入力するために要していた労務費や、送受信にかかっていたコストの削減につながるのです。
また、在庫の状況をデータで確認できるため、余剰在庫を抑制する効果も期待できます。目視や手入力で帳票を確認・作成する際に生じるヒューマンエラーもなくなるため、発注ミスや納品事故の防止にもつながるでしょう。
内部統制の徹底が可能
EDIは内部統制を徹底する上でも効果を発揮します。帳票類を作成する際に発生しやすい入力ミスを防ぎ、データの信頼性を高めることができるからです。また、システム上で統一された手順に従って帳票の発行・送信を行うことにより、業務プロセスを標準化できるというメリットもあります。
内部統制は自社内で徹底するだけでなく、社外とのやりとりにおいても留意していくことが重要です。EDIを導入済みの企業同士の取引であれば相互に信頼性の高いデータをやり取りできるため、双方にとって内部統制の徹底に寄与するでしょう。
EDIは大きく3つの種類に分けられる
EDIには「個別EDI」「標準EDI」「業界VAN(標準EDI)」の3種類があります。それぞれの特徴と利用しやすい業界・業態について見ていきましょう。
EDIの種類1:個別EDI
取引先ごとに通信形式や識別コードを決定する仕組みのEDIを個別EDIといいます。取引先に合わせてルールを詳細に設定できる反面、データ変換の汎用性がないため取引先ごとにデータ変換の仕組みを用意しなければなりません。
取引先の企業数が限られており、今後も大幅に増える可能性が低い企業に適したEDIといえます。取引先が多い企業や、将来的に取引先が増えることが見込まれる企業の場合、後述する標準EDIを採用するほうがよいでしょう。
EDIの種類2:標準EDI
標準EDIとは、使用するフォーマットやデータ変換形式、運用ルールといった規格が標準化されたEDIのことです。取引先によってデータ変換の仕組みを変更する必要がないため、多くの取引先を抱える企業や今後も取引先が拡大する可能性がある企業に適しています。
ただし、後述する業界VANのように、標準EDIの中にも特定の業界の商習慣に特化した規格が存在する点に注意が必要です。既存の取引先がどの規格のEDIを採用しているのか、事前に調査しておく必要があるでしょう。
EDIの種類3:業界VAN(標準EDI)
業界VANとは、標準EDIの中でもある業界に特化した規格のEDIを指します。業界内で共通の商品コードや取引先コードを使用しているため、同業種間での取引において利便性が高いのが特徴です。
業界VAN(標準EDI)規格は、比較的古くからある業界に多く見られます。たとえば食品業界や酒類業界、医薬品業界、日用雑貨業界などは、業界VAN規格が存在する代表的な業種です。これらの業界に属する企業では、業界VANによるEDIサービスを優先的に採用することで導入がスムーズに進むでしょう。
Web-EDIにも注目が集まっている
近年、Web-EDIにも注目が集まっていることをご存知でしょうか?従来のEDIとWeb-EDIの違いや導入時の注意点について解説します。
専用のEDIシステムが不要
Web-EDIの特徴として、専用のEDIシステムが不要であることが挙げられます。従来のEDIは固定電話回線を使用しており、専用のEDIシステムを導入する必要がありました。一方、Web-EDIではインターネット回線を使用し、ブラウザで閲覧する点が大きく異なります。
Web-EDIはインターネットに接続できる環境とPCさえあれば利用できるため、従来のEDIと比べて低コスト・スピーディな導入が可能です。
ただし標準化はされていない
手軽に導入できることが大きな強みのWeb-EDIですが、弱点もあります。Web-EDIは規格が標準化されていないため、取引先によって異なるWeb-EDIを用意する必要があるのです。
取引先数が多い企業の場合、取引先ごとにWeb-EDIを用意すると従来のEDIよりもかえってコストの負担が大きくなることも想定されます。Web-EDIは導入時のコストを抑えられる反面、汎用性の面では既存のEDIに軍配が上がるケースもあることを理解しておきましょう。
EDIを導入する前に確認すべきこととは
EDIを導入するにあたって、確認しておくべき2つのポイントをまとめました。導入時に漏れのないよう、必ず確認しておきましょう。
取引先とデータをやり取りする環境を整える
EDIでデータをやり取りするには、取引する企業間で通信プロトコル(約款)に対応している必要があります。EDIで使用される主なプロトコルと、よく利用されている業界は下記の通りです。
- JCA手順:小売業や流通業などで利用されているプロトコル
- JX手順:中小企業に最適化された日本独自のプロトコル
- 石油協標準ビジネスプロトコル:石油化学工業協会で用いられているプロトコル
- 全銀協標準通信プロトコル:銀行間取引で利用されているプロトコル
- EDIINT AS2:流通業界を中心に利用されているWeb-EDIの国際標準規格
- OFTP2:欧州の自動車業界を中心に利用されているWeb-EDIの規格
- ebXML MS:流通業界や医療機器業界などで利用されているWeb-EDIの規格
- SFTP:大手企業やグローバル企業で多く利用されているWeb-EDIの規格
自社や取引先の業種によって、利用しているケースが多いプロトコルは異なります。既存の取引先がどのプロトコルを利用しているのか調査しておくことが大切です。
データの識別コードを決める
EDIは、他社から送信されてきたデータを取り込む際にデータ変換を行うため、やり取りするデータの識別コードを決めておくことも重要です。識別コードには固定長形式、CSV形式、XML形式などがあります。
採用する識別コードに応じて、標準EDIで対応可能か、あるいは個別EDIを導入する必要があるのか、業界VANが適しているのかを見極める必要があるでしょう。
自社にEDIを導入すべきか慎重に検討してみよう
EDIは企業間取引の効率化やコスト削減を実現する上で効果を発揮します。内部統制の強化においても、EDIの導入を検討する意義があるでしょう。
一方で、EDIのメリットを十分に享受するには取引先や業界に適したEDIを導入することが重要です。本記事を参考に、自社でEDIを導入するべきか慎重に検討してください。
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